-
Notifications
You must be signed in to change notification settings - Fork 5
意訳:「 The problem with Amazon and Open Source isn’t Amazon」
https://anonymoushash.vmbrasseur.com/2019/06/07/the-problem-with-amazon-and-open-source-isnt-amazon/
HPでOpenStackのUpstream開発をマネージメントしていた VM Brasseur氏のブログの意訳。 Open Source Initiative の VP も経験している。 FOSS: Free and Open Source Software
最近ある友人が私に質問をした。「Amazon と Open Source の最近の状況はどうなの?」 「彼らの新しいライセンスは OSI(Open Source Initiative)で承認されそうなの?」 以下はその質問に対する私の回答である。
ここ数ヶ月でOpen Sourceプロジェクトのライセンス変更が頻発した。 そして全てのケースにおいてライセンス変更は Amazon からプロジェクトを守ることが目的となっている。
これは大きなでたらめの流れだ。
はじめに言っておくと、Amazon がどのようにそれらのOpen Sourceプロジェクトを使おうが、それ自体に明らかに悪いことは何も無い。 彼ら(Amazon)は、そのプロジェクトのライセンス境界にそって完全に運用している。 誰かが悪いと非難する状況にあるが、Amazon ではないだろう。
それらのプロジェクトはAmazon からプロジェクトを守るためにライセンス変更を行ったわけではない。 それは彼らの自然な立ち居地であり、とてもわがままなうそだ。 それらの会社がプロジェクトのライセンス変更を行ったことは、彼らがビジネスを成功させる方法に対して 無知であるという事実のためだ。 彼らは彼らの秘密ソースをPermissiveライセンスのもとリリースし、そして競合企業が同じ技術をベースと したもっと競争力のある製品をリリースすることを発見してきた。・・・
もしもそれらの会社が実際にプロジェクトをケアしていたのであれば、彼らは彼らの周辺に強いコミュニティ を構築するためにリソースを投資してきたであろう。Amazon にもリーチしていたであろうし、彼らに開発貢献 してもらえるように働きかけていたであろう。彼らはその少しのコミュニティ貢献を行わなかった。その結果 それらのプロジェクトはそれらの会社の外からの開発貢献を多くは得られない状況にした。それは彼らのコミュニティ 管理のレベルが低いことを示している。コミュニティからの貢献を得られず、知財ライセンスをロックし、 コミュニティの信頼を傷つけている。
あなたはそれらの問題(コミュニティとの信頼)を解消するためにライセンスを変更しているような企業は無いことに 気づいただろう。彼らはコミュニティにAmazon を参加させるために議論していない。ただ単に耳をふさいだだけだ。 私はAmazonにおける多くの Open Sourceに関するリーダーシップを知っている。彼らは良い人々だ。自由とOpen Sourceに ついて深くケアしているし、彼らが商用で利用しているプロジェクトのコミュニティに対して正しいことをしている。 Amazon はコミュニティでどのようなポジティブな違いを作れるかを聞くことにとても前向きだ。彼らはAmazon という 大企業において相対的には小さな数だ。更に大きな開発貢献を行うには更に時間が必要だろう、しかし現在彼らは一生懸命 がんばっているし、その状態(大きな開発貢献を行っている)に近づいている。
そう、最近のアンチAmazonのプロパガンダの洪水の罠にはまってはいけない。このようなプロパガンダは成功するビジネス をどのように経営するのかを理解していない企業によって発せられたものだ。私から言えることは、彼らは彼らのベンチャー キャピタルから陳腐なアドバイスを受けたことから始まっている。彼らは単にそのようなアドバイスに従っただけであり、 現在その代償を払っている。
彼ら(OSSベンダー)の新たなライセンスが OSI で承認されるかどうか、私の答えは明らかに No だ。そこには2つの理由がある。 1つ目は、彼ら OSS ベンダーはレビューのためにライセンスをサブミットしなければならない。OSI は単にライセンスをレビュー するだけではない。ライセンスの作者は行動を取らなければならない、「これは新しいライセンスであり、Open Source Definition に沿ったものと我々は考えています。これは我々とそのコミュニティにとって価値のあるものです。どうかレビューをして、それを 確認してください」といった行動だ。実際、1つの企業だけがこれを試み、2つ目の理由から承認されなかった。
OSI 承認を取るには、ライセンスは Open Source Definition を守っている必要がある。 彼らの新しいライセンスは守っていない。彼らは OSD から分岐しており、以下の4条項に違反している。
- No Discrimination Against Fields of Endeavor
- License Must Not Be Specific to a Product
- License Must Not Restrict Other Software
- License Must Be Technology-Neutral
特に #6 は彼らのライセンスにおける重大な違反だ。非商用利用に制限することは Free/Open Source Software の 精神に対する重大な違反である。古代、人々が Free Software からお金を稼ぐことを許容することに対して、Stallmann は情熱的だった。彼と FOSS リーダは Free/Open Source Software からお金を稼ぐことを妨げることは悪夢になるだろう と認識した。FOSS にとってこれは重大なことであり、FOSS を商用利用としてお金を稼ぐことを推奨するようになった。 このことは FOSS が広まることを助けるものだ。問題となっているOSSベンダーのライセンスは、彼ら独自の商用ニーズを 優先したものであり、前述した FOSS の利点と OSD の条項両方を無視したものになっている。
実際、多くのソフトウェア企業が運用し、革新を可能にしている活気に満ちた Cloud-base や Cloud-native 環境が存在し ている。それらの企業は彼らの技術を OSI認証されたライセンス配下でリリースし、一般的で強力なツールにおいて協力を えられるようになっている。これは成功する企業の文化である。Microsoft のような以前は FOSS の敵のような企業ですら このような協力・協業は継続的に企業が成長する上では重要なものと認識するようになった。
ここで明確にしたいのは、FOSSを含むソフトウェアを使ってお金を稼ぐことは全く悪くないということだ。 ソフトウェアにプロプラなライセンスを選ぶことは正しいビジネス決断の一つであり、これは私もサポートする。 また、ソフトウェアに OSI 認証されたライセンスを選ぶことも同様に正しいビジネス決断の一つであり、これも 私はサポートする。しかし、あなたの会社によって作られたライセンスをソフトウェアに適用することは単に ビジネス決断だ(私はサポートしない、と暗に言っている)。
沢山の潜在的に考慮しなければならないことが存在し、それは企業によって異なる。しかし、「企業が継続的に 成長するに十分なお金をどのように稼ぐか?」は企業の全ての決断を通して一貫性を持つべきものだ。 もし、その命題に対する企業の答えが「お金は後から付いてくるだろうから、そのソフトウェアを単に与えてしまおう」 であり、売上げに繋がるような説得力がある商用オファーを彼らが持っていないのであれば、その競業他社は同じ 技術を使って彼らの代わりに売上げを得ることになるだろう。これは Open Source Software やライセンス、文化の 失敗ではない。これは単にその企業が「どのようにビジネスをするのか」を理解していないだけだ。Amazon を非難する ことはこのような失敗した状況を変えられるものではない。
終わり
- 2021/01/14 ElasticがElasticsearch本体のライセンスもApacheからSSPL/Elasticに変更を発表 https://www.elastic.co/blog/licensing-change
- 2021/01/19 「SSPL は Open Source Licenseではない」と OSI が再度明言(2019年3月時点で発表済み) https://opensource.org/node/1099